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書庫的ななにか

Archive2012年02月 1/1

あくまであくま 44

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  44 五人の女悪魔がベッドに横たわる。 実房は反対に立ち上がり、その姿をじっくり眺めた。「ちょっと、もっとそっち寄ってよ」「うっさいわね、もうこれ以上無理よ」「うそ。まだ空いてるでしょ、そこ。わたしなんか身体半分出ちゃってるんだから」「太ってるせいじゃないの?」「だだだだれが太ってるですって?」「うわさは聞いてるわよ。地上で食っちゃ寝、たまにマンガ読んでまた食っちゃ寝してるって」「そそそそんなデ...

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あくまであくま 43

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  43 ここは悪魔の溜まり場か、とジブリールは狭い部屋を眺めて思うが、自分もその悪魔のひとりだと気づき、改めて複雑な気分になる。 熾天使、大天使と呼ばれた自分は、もうどこにもいない。 いまはただ――天使から堕ちた悪魔がひとり、いるだけだ。 それを悲しいとは、ジブリールは思わなかった。 堕ちた状況が状況なだけに、まったく後悔がないわけではないが――要は、仕える人間が変わっただけのことだ。 神から、槌谷実...

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あくまであくま 42

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  42 アリエルは耳を疑った。 ――神を倒す? まさか、そう聞こえた気がしたが、気のせいにちがいない。「か、髪を倒すと言ったんですわよね。だれか倒す必要があるくらいつんつんした髪の持ち主がいらっしゃるとか」「そんな変な髪型の知り合いはいないな。強いていえば、金髪ドリルが目の前にいるくらいで」「だれがドリルですかあ!」 神を倒すと、実房はそう言ったのだ。 そんな冗談を言う男でないことはアリエルもわかっ...

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あくまであくま 41

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  41 ふたりの唇がゆっくりと離れる。 あとを追うようにジブリールが一瞬背伸びしたのを、アリエルは見逃さなかった。「な、なにをするっ」 ジブリールはわれに返ったように唇を拭い、実房をにらみつけた。 しかしいまさらそこに迫力もなければ、威圧感もない。 実房はその視線を軽くいなし、アリエルに向かって、「だれかひとり、生徒を押さえておけ。もしジブリールが妙な動きをしたらいつでも手を出せるように」「ど、ど...

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あくまであくま 40

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  40 ジブリールは時間の止まった教室をぐるりと見回した。 髪が鮮やかな赤色なら、瞳も夕陽を閉じ込めたような透き通った朱色だ。 その目でじっと見つめられると、身体中が縫い止められたように動かなくなる。 実房はなにか能力でも使っているのかと考えたが、そんな気配でもない。「――これはおまえがやったのか、アリエル?」 ぽつりとジブリールが言うと、アリエルはびくりと身体をふるわせ、無意識のうちに実房の腕にす...

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炎のしずく

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   炎のしずく それは恋でも愛でもなかったが、それに似たなにかではあったのかもしれない。 ぼくは目を覚めてから眠るまで、もっと言えば夢のなかでも、ただひとつのことだけを考え続けていた。 ほかならぬ、ぼくの妹のことだ。  * ぼくと妹の夏海は、変わった兄妹だった。 ぼくたちは幼いころから仲がよかったわけではない。 むしろ、必要以上の会話はほとんどしたことがない。 たとえばリビングでいっしょにいても...

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あくまであくま 39

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  39「悪魔の力を使って性欲を満たす方法ねえ」 実房は小首をかしげる。「そんなの、別になんでもいいんじゃないのか」「な、なんでもいいとおっしゃいますと」「たとえば、時間を止めてそのへんにる女を犯してもいいし――ああ、おまえの場合は男か。まあ、どっちでもいいけど、それでもいいし、おれとちがって能力に制限はないんだろう。だったら適当に、なんでもできる」「じ、時間を止めてそんなこと……い、生き物としてやって...

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あくまであくま 38

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  38 教室はつかの間の休憩に騒がしく揺れている。 ある生徒は友人の机に腰を引っ掛けて雑談をしていたり、別の生徒は次の授業の教科書を開いていたり、ひとつの教室内を見回すだけでもさまざまな動きがあるが、その中ほど――。 槌谷実房の机にはいま、ひとりの女子生徒が腰掛けていた。 椅子に座っている実房に対し、机の上に足まで乗せて座っている姿は喧騒のなかでもはっきりと目につく。 実房は、片手にデジタルカメラを...

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あくまであくま 37

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  37 アリエルがラミアの手と張形でもって十度目の絶頂に達したころ、同じ天界の、しかしまた別の場所ではある動きが起こっていた。 天界は天界でも、その中心――いってみれば宇宙の中心というべき場所だ。 そこには荘厳な宮殿がある。 すべてが神性を帯びた色、すなわち白で作られた宮殿で、規模は人知を超えている。 無限の回廊は文字どおり無限の柱と無限の庭を囲んで作られ、庭には地球上に存在するすべての植物が一斉に...

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あくまであくま 36

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  36 廊下は薄暗かったが、その先のリビングにはまばゆい光が満ちていた。 カーテンは開け放たれ、窓からは燦々たる光が降り、家具も白系統のものが多く、悪魔の部屋とは思えないほどすっきりとして居心地がよさそうなリビングだ。 アリエルは廊下を抜けた先でぼんやり立っていたが、女悪魔にぽんと肩を叩かれ、「ひゃうっ――」 と飛び上がって振り返る。 女悪魔はくすくすと笑い、食卓の椅子のひとつに腰掛けるよう指示した...

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あくまであくま 35

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  35 メルはティッシュでヴァギナを拭き取り、またいそいそと服を着はじめた。 実房もズボンを穿いて、ようやく落ち着く。「ほんまに人間離れした子やなあ、きみは」 改めて、メルは実房をじっと見た。 笑うような顔だが、目元には快楽がわだかまり、ほんのりと赤く染まっている。「たしかにこれならレヴィ以上の成績でもおかしくないなあ」「でしょ、先輩」 とすかさずレヴィ、「わたしがだめなんじゃなくて、こいつがおか...

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あくまであくま 34

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  34 頭を下げるメルは、なまりも相まって花魁のようにも感じられた。 しかし外見はまるで子どもなのだ。 実房にするすると寄って、その剥き出しの逸物を見下ろす姿は、それだけでもなにか犯罪じみている。 実房がじっと見ていると、メルは視線を上げ、「この姿が気になるん? なんやったら、大人の姿になってもええけど――」「大人の姿になる?」「仲間内からはメルって呼ばれてるけど、ほんまの名前はマーラ――つまり魔羅、...

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