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書庫的ななにか

Archive2013年09月 1/1

真夏のディアキネシス 12

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   真夏のディアキネシス  第十二話 サクラメント  1「――〈ゴースト〉化など、私が許さない」 藤堂泰氏は壁から体を起こし、柳瀬景文の前に回り込んだ。「きみも見たはずだ。〈ゴースト〉化した人間がどうなったか。きみは、あれと同じことを自分でするつもりなのか?」「まあ、藤堂くん、すこし落ち着けよ」 椅子に座っている小野寺嗣生は笑うように言った。「彼の意志は強い。思いつきで言っているわけじゃなさそうだ...

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真夏のディアキネシス 11

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   真夏のディアキネシス  第十一話 亡骸を連れて  0 警報が鳴っている。 じりじりと耳をつんざくような大音響が施設内に響き渡っている。 古い工場を利用しているグランドパーティ支部には、隔壁のような特殊な防御構造は設けられていなかった。 システム管理は一括で行われていたが、どのフロアにだれがいる、というような情報はなく、電子ロックされている扉さえ珍しかったから、何人が逃げ出し、何人が施設内に残...

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お知らせ

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 夏が終わったと思ったらこの二日ほど暑くして死ぬ思いをしている。 もう今年は使わないだろうと扇風機を片付けたとたんにこれである。やっていられない。 ところで、幸いなことに電子書籍というものを書かせていただくことになった。 配信はまだされていないのですが、サイトのほうには掲載されているので、ご興味ある方はぜひご覧ください。 ペガサス文庫 一応話としては以前に書いた「時を止めて」をベースにしてあるのだ...

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真夏のディアキネシス 10

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   真夏のディアキネシス  第十話 人工生物  0 簡単にいえば、そこは巨大な金属の箱だった。 広さは縦横十メートル、高さは二メートルとすこし。 入り口はひとつしかなく、それは強靭な金属製の扉で、ほかに外界と通じているのは強化ガラスが嵌められた窓だけだった。 窓の向こうも外ではない。また別の部屋になっていて、そこからその「箱」のなかを見ることができるようになっている。 この部屋はある実験のためだ...

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夏の終わり

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 気づけば暑くなくなっている。 どうやら夏の終わりらしいのだ。 ついこのあいだまで、会話の出だしといえば「今日も暑いですね」だったのに、もうその便利な挨拶も使えなくなり、これからは「涼しくなりましたね」にすり替わり、そのうち「今日も寒いですね」になるのだ。 月日って恐ろしい。 基本的にぼくは季節感のない人間である。 この季節になったらこれをする、この季節にはこれを食べる、という習慣もなく、暦とも大...

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真夏のディアキネシス 9

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   真夏のディアキネシス  第九話 けものの本能  0 彼はとくに目立つ生徒ではなかった。 教室では最後方の窓際に座っていて、授業中は大抵眠たそうにあくびをしている。 いちばん活き活きとしているのは休み時間、男友だちとしゃべっているときだった。 彼は人見知りとは無縁で、だれとでも仲良くできる性格らしく、特定のだれかと仲がいいというより、クラスの男子みんなと仲がよかった。まあ、その社交性は男子限定...

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