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書庫的ななにか

Archive2016年12月 1/1

I'm Tuna!

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   I'm Tuna!  1 その瞬間、おれは自分が持てるかぎりの集中力を発揮していた。 どだい人間というものは複数の情報を並列処理することができない。ひとつの音に集中すればほかの音は聞こえなくなり、ひとつの映像を見ていればそれ以外のものは見えていても認識できなくなる。 そういう人間の特性のなかで、おれは片耳にだけはめたイヤホンからの音、そしてノートパソコンに表示された画面、加えて周囲の音や気配に細心の...

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Invisible One

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   Invisible One  1 ――ある日の夕方のことだ。 おれは午前だけ大学に出て、昼からはバイトに勤しんで六時すぎに帰宅したのだが、待っていたのは妹である美弥のこの言葉だった。「ねえねえお兄ちゃん、お願いがあるんだけどー」「断る。さ、飯食って風呂入って寝よーっと」「ちょっと! かわいい妹が、お願いがあるってかわいく頼んでるんだけど!」 美弥はおれの腕をがっちり掴んで退路を断ち、むむ、と睨んだ。おれか...

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polyphonic summer / songbird

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   polyphonic summer / songbird  0 広場の真ん中に、大きな石像が立っている。 岩から掘り出されたばかりのように無骨なのに、細部まで細かく作られた石像だ。 腰には剣を差し、手には花を持っている。 そんな騎士の話をしようと思う。  1 ある時代、ある場所、ある日のこと。 ひとりの騎士がおりました。 彼は優秀な騎士でしたが、当然のように王女に恋をして、当然のように報われない恋心に悶え苦しんでおりま...

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polyphonic summer / memory's end of worlds end

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   polyphonic summer / memory's end of worlds end  0 もともとこの町に海があったかどうかは、あまり重要な問題とは言えない。 ここが山間の町であろうと、あるいは海の真ん中に作られた人工都市であろうと大した問題はなく、海というものはいうなれば高負荷な情報の集積体であり、リソースを自由に扱えたころのように広大な海など作りようがないわけだから、海というよりもそれは塩辛いプールのようなものだった。 横...

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polyphonic summer / falling down, falling down

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   polyphonic summer / falling down, falling down  0 博士はいつもむずかしい顔をして、大抵この世の終わりのように嘆き悲しんでいるが、それがポーズであることはみんな承知していた。  1 彼がどうして博士と呼ばれているかについて。 答えは単純明快で、彼は白衣を着ていて、かといって医者には見えないせいだ。 本人は哲学者だと自称している。 それはきっと人間が人間であると自称するようなもので、本質的で...

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polyphonic summer / reflected voice

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   polyphonic summer / reflected voice  0 ルネサンスに生きたフランスの大天才は、大真面目に大嘘をついた。 一九九九年七月。 世紀末の差し迫った夏の日、自称研究者たちがころころと手のひらを返して「あれは解釈がちがうのだ」と言いはじめたとき、だれもがそう予感したように、やっぱり人類は滅亡しなかった。 かくして偉大なるノストラダムスは、一連のブームでなんの利益も得ていないにも関わらず詐欺師と誹ら...

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ゆりゆりー!

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 平素よりお世話になっております。藤崎です。 なんて堅い出だしの意味はとくにないのですが、今月はじめの更新で予告していた百合百合したやつを更新しました。結構長めの話ですので、お暇があればぜひご覧くださいませ。  * 今回、更新してみてさらに実感したわけですが、とにかく自分の書いたものを整理したい衝動に駆られております。 そもそも更新するのも行き当たりばったりというか、数が増えてきたときに見えやすい...

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最後の最初

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 みなさまおはようございます。藤崎です。 いやあもう気づけば十二月。一年の最後の月のはじまりですよ。 個人的に十二月は一年のうちでいちばん嫌いなのでとくにコメントはないわけなんですが、こうなったらいっそ早く年が明けて三月とか四月になってほしい。そしてそこで時間が止まってほしい。そしたら時間が止まった世界でいろいろ楽しいことできるのに。  * 先日からぽちぽち書いておりました話が書き終わりまして、そ...

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