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書庫的ななにか

Archive2017年01月 1/1

あけました。

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 おめでとうございました。   * という一文だけで終わる記事を昨年書いたような気がするので、さすがに新年早々使い回し感を出すのはよくないと思いつつ、しかし新年だからといって書くことがあるかといえばそんなものがあるはずもなく。 ともかく、明けましておめでとうございます。 昨年は大変、大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願いいたします。  * 基本的にぼくは世間の風習になんか流されないぜ的人...

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第十四話 わたしはここにいます

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     汝、光のなかを進め     第十四話 わたしはここにいます     0 時間の流れというのはいつもそうだが、その瞬間はゆっくり進んでいるようでも、過ぎ去ってみれば一瞬のように思える。 とくに忙しく動き回っているときには一日が早く感じるし、一週間、一ヶ月とあっという間に過ぎてしまうこともある。 そのときは時間が過ぎていくということも意識できず、ある瞬間にふと振り返り、こんなに時間が経ってい...

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第零話 あの日のこと

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     光のなかを進め     第零話 あの日のこと     0 報告をするとき、どれくらい怒られるだろうと考えていた。 こちらの個人的な事情で一方的に終わらせるのだから、きっと向こうからすれば冗談じゃないという話だろうし、どれだけ怒られても仕方がない。しかし同時に、たとえどれだけ怒られたとしても、どうすることもできないというのも事実だった。 すべては終わったのだ。 まるで打ち上げ花火のように、...

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第十三話 はじまりのおしまい

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     汝、光のなかを進め     第十三話 はじまりのおしまい     0 立ち止まってもいい。 立ち止まるということは、また歩き出せるということだから。     1 snowdropsが行うフリーライブの開演時間まで、もう十分を切っていた。 すり鉢状のステージに集まっている客は、まだ百人にも満たない。直前の告知にも関わらずライブを見にきた、いわばsnowdropsの熱心なファンたちは、互いにすき間だらけの客席...

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第二十二話 お客さまが必要なんです

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     汝、光のなかを進め     第十二話 お客さまが必要なんです     0 枝を辿ってみればいい。 先端では無数の枝葉が存在しても、根元に近づくにつれて枝はすくなく、太くなっていく。 そして最後にはたった一本の幹だけが残る。 頂点を目指すとは、そういうことなのだ。     1 レッスン室には今日も音楽と足音が響いていた。 伊崎龍也は出入り口近くの壁にもたれかかり、鏡越しに彼女たちの様子を見...

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第十一話 失うもの、得るもの

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     汝、光のなかを進め     第十一話 失うもの、得るもの     0 サイレンの音はいつだって不吉だ。 知らないだれかの大事件かもしれないし、関わっているのは知り合いなのかもしれない。 それでも耳を塞ぐわけにはいかないのだ──生きていくためには。     1 伊崎龍也が車を降りたとき、もう日は暮れていた。 病院の駐車場には多くの車が止まっている。スーツを着た人間も多かった。仕事が終わり、そ...

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第十話 実験台が必要です

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     汝、光のなかを進め     第十話 実験台が必要です     0 いいか、碧。 私たちがやっている占いというのはね、本当に未来を見透かしているわけではないんだ。 よくひとは私たちのことをよく当たる占い師だと言うが、実際のところ、そのひとの未来にどんなことが起こり、そのひとがどんなふうに生きていくかなんてわからない。 けれどね、きっといろんなことが起こるだろうということは間違いなく言える。...

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第九話 運命の出会いなんてあるんでしょうか

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     汝、光のなかを進め     第九話 運命の出会いなんてあるんでしょうか     0 運命、なんて言葉、信じていなかった。 格好よくいえば、運命なんて自分で切り開いていくものだと思っていた。 人間、どんなふうに、どんな場所で産まれてくるのかは選べない。親も、自分の容姿も、生まれ持った能力も選ぶことはできない──それはある意味で運命のようなもので、でもそれに従って生きなければならないという決ま...

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第八話 三者三様でよろしいですね

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     汝、光のなかを進め     第八話 三者三様でよろしいですね     0 彼女たちは見た目や性格こそまったく異なっていたが、まるで双子のように育った。 毎日顔を合わせ、学校へ行くのも、遊ぶのも常にいっしょ。 いっしょにいないときに起こったことは互いに事細かく報告し、喜びも悲しみも悔しさも共有していままでやってきた。 彼女たちのあいだには秘密などなにもなく、ふつうなら他人には言えないような...

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第七話 あなたは誰ですか?

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     汝、光のなかを進め     第七話 あなたは誰ですか?     0 運命というのは都合のいい言葉だ。 どんな偶然や必然も、好意的に解釈すれば運命といえる。 たとえば世を儚んだ通り魔が道行くひとびとに斬りかかったとして、その犠牲者のなかに生き別れた兄弟なんかがいたとすれば、それは運命だろうか。しかしほかの犠牲者からしても偶然その場に居合わせただけでひどい目に遭ったというのは運命と言えないこ...

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第六話 あなたは美しいです

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     汝、光のなかを進め     第六話 あなたは美しいです     0『おまえら、Cutie Fes.行った?』『行ったけど』『おれ仕事で行けなかったんだよな。どのグループがよかったよ?』『そりゃやっぱりCaRaTだろ。いろんなグループが出てたけど、やっぱりパフォーマンスって意味では頭ひとつどころか五個くらいは抜けてた。ダンスも唄も完璧だったしな。やっぱ横綱は強えなって感じ』『たしかにCaRaTは強いよなー。セ...

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第五話 初舞台

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     汝、光のなかを進め     第五話 初舞台     0 ステージの上ではいつも孤独だった。 スポットライトに当てられると、だれも助けてはくれない。だれにも助けを求めてはならない。その場所で自分なりの結果を出さなければ、ステージの裏でどれだけ努力をしても意味がない。失敗は許されない。自分のためにも、同じステージに立っている人間のためにも。 時々、どうしてステージに立っているんだろうと思うと...

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第四話 旅に出ましょう

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     汝、光のなかを進め     第四話 旅に出ましょう     0ナレーション「××町にはたくさんの魅力があります。美しい海(海岸の映像インサート)、ひととの触れ合い(商店街の映像インサート)、そして花の湯旅館から望む絶景(客室からのオーシャンビューインサート)。都心からのアクセスも抜群。ぜひみなさま、一時の癒やしを求めておいでくださいませ──」 ──花の湯旅館テレビCMの台本より抜粋     1...

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第三話 えこひいきはよくないと思います

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     汝、光のなかを進め     第三話 えこひいきはよくないと思います     0 とある日、プロダクション亀山のレッスン室にて。「はー、今日もレッスン疲れたなー」 上山未歩那はレッスン室の床にごろんと寝転がり、ふうと息をつく。北村音羽はその頬に冷たい水をぴたりと押し当てた。「うひゃあっ──だれだー、こんなイタズラするの」「わたしじゃないよ。そのへんを飛び交ってる妖精さんかなにかじゃない?」「...

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第二話 歌を唄いましょう

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     光のなかを進め     第二話 歌を唄いましょう     0 なんだ、あいつの声、へんなの。 ねえねえ、なんか言ってよ、あははは、へんな声ー。 もっとでかい声でしゃべれば? なに、おまえ喋れねえの? ほら喋れよ──はは、なんだその声?     1 その日、北村音羽は、朝起きたときから震えていた。 悪寒を感じたわけではない。 なんなら昨日の夜から眠れなかったし、今日もなんだかお腹と頭が痛いよ...

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第一話 はじめまして

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     光のなかを進め     第一話 はじめまして     0「──それで本当にいいの?」 彼はこくりとうなずいた。そのわずかな仕草にどれほどの葛藤があり、どれほどの感情がこもっているのだろう──そしてそんな決断に、だれが口を挟めるだろう。 鬼原篤子ができることは、それを認めてやること、そしてほかの人間たちに認めさせることだけだった。 すべてはもう決まったのだ。だからあとは、こちらの仕事だ。「わか...

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